キオクノオト

記憶の音 ~ 好きだった人。好きな人。好きになってくれた人。

強い嫉妬。意外な気持ち。

今日、彼から社内電話でわたしのいる支店に電話がかかってくることは

あらかじめ知っていた。

わたし宛にではなくて、同じ支店の若い男性営業マン宛ということも知っていた。

『今日、〇〇支店長から電話がくるはず』と言っていたから。

 

プルルル・・・

電話のディスプレイには彼の支店名。

もともとわたしは取るつもりはなかったし、当事者の営業マンが取ると思っていたのに

奪うように受話器を持ち上げたのは、わたしが苦手な人。

 

『おつかれさまでぇぇす!きゃはは~』

みたいな感じにはしゃいで、無理に雑談をねじ込んで

なかなか営業マンに受話器を渡さない。

ずーっときゃはは!きゃはは!なんてやってる。

 

わたしの苦手なこの女性は、いつもこんな感じだ。

それほど親しくない人に対して

『自分はこの人と仲がいいんですよ』風に振る舞う。

 

内心『ばーか!』と思う。

彼はあなたのこと名前くらいしか知らないぞ!と思う。

握っているペンに少し力がこもる。

 

あー、これは嫉妬か。

強い嫉妬。

 

わたしにもこんな感情があったんだなんて、なんか意外だ。

 

夜、彼から電話がきた。

『今日、ariesさんのとこに電話した』

そう言う彼に

『え、そうなの?知らなかった』

さらっと答えた。

 

わたしは女だ。

自分の好きな人が誰かと親しげに話していると

嫉妬してしまうような女だ。