キオクノオト

記憶の音 ~ 好きだった人。好きな人。好きになってくれた人。

わたしがご馳走したかった理由。

5月の支店長会議はたまたま休みの前日だった。

わたしは2連休にしていて、赴任先から自宅に戻っているので、

今回はわたしの自宅がある方面で飲もうということになった。

 

自宅のある地域だから、飲食店にはちょっとだけ詳しい。

彼を連れて行きたいお店があったので、さっそく予約。

丁寧な仕事ぶりが評判の焼き鳥屋さん。

 

日頃お世話になってるし、毎回ご馳走になってるし、

今回はわたしが彼にご馳走しようと思ってて・・・

 

支店長会議を終えた彼は急いで会社を出てホテルにチェックイン。

わたしもほぼ同じ時間に自宅を出て、彼との待ち合わせ場所に向かう。

 

焼き鳥屋を出るときに、わたしが払おうとすると

 

『それはいいから。俺にカッコつけさせて』

 

もう1軒行く。

今度こそわたしが・・・と思っていたら、

お手洗いに行っている間に会計は済んでいた。

 

さらにもう1軒行く。

今度こそ絶対!と少々意地になる。

彼がお財布を出す前に

 

『わたしにもたまにはカッコつけさせて』

 

意地になったのは理由がある。

少し前に彼の誕生日だったから。

 

付き合っていたら当日にお祝い出来たんだけど

わたし達はそんな関係じゃないし、

それをしてしまうと付き合わなきゃいけないような気がするし、

だから誕生日のお祝いということは今は言わない。

もう少し日が経ってから言おう。